獣医学

獣医学領域における最新の研究情報を収集し、要約した記事をアップデートしてまいります。犬や猫などの小動物、牛や豚、馬、羊、山羊、鶏などの畜産動物などの医療や健康、公衆衛生にまつわる幅広い専門領域について継続的に最新研究を確認。このカテゴリーの中で情報発信していきます。
www.youtube.com 末期心疾患の成人患者に遺伝子組み換えのブタ心臓を移植する世界初の手術が成功し、従来の移植が不可能と判断された患者が生存するための唯一の選択肢が誕生した。米国、メリーランド大学医学部の研究グループが、同大学の公式ウェブサイト…
自由生活の動物と飼育されている動物における新型コロナウイルス(SARS CoV-2)の存在の調査についての研究が報告されている。抗SARS CoV-2抗体とウイルスRNAの存在を確認。2020年6月から2021年2月まで、自由生活のイノシシ(Sus scrofa)、アカギツネ(Vulp…
南米では新型コロナウイルス感染症を制御する対策のために狂犬病予防が後手にまわっているとする研究が報告されている。大規模ワクチン接種が滞り、犬の狂犬病が増加すると推定。実際に、南米ペルーのアレキパで狂犬病の増加傾向が確認されており、注意を要…
日本獣医寄生虫学が奨励賞の受賞者を決定した。第12回日本獣医寄生虫学奨励賞の受賞者は東北大学大学院農学研究科の伴戸寛徳氏。 jsvp-hp.blogspot.com 学会
コウモリのコロナウイルスの進化における自然淘汰によって、種を超えて感染可能な病原体および人の病原体を生み出したとする研究が報告されている。 コウモリのコロナウイルスのゲノムにおいて、コウモリのウイルスに抵抗する機構に関連して、CpG配列の適用…
犬のアトピー性皮膚炎が出生後早期の食事と関連していると指摘する研究が報告された。 1万2000以上の犬を対象として、アトピー性皮膚炎と関連する要因を調査。アトピー性皮膚炎を起こしやすい犬種、母犬のアトピー性皮膚炎、毛の50%以上が白色であることと…
インドの小反芻獣におけるブルセラ病の血清有病率の研究。2017~2018年の全国横断的な調査を報告。 インドの地区54.68%、インドの村43.83%を対象として分析。血清検体を間接ELISAで検査すると、全体的なブルセラ病の検査陽性を示したすべてを含む見かけ上…
オオコウモリ、フェレット、豚、鶏に新型コロナウイルスが感染するかを検証した研究。 新型コロナウイルス感染の可能性を確かめるため、4種類の動物の鼻腔内にウイルスを接種し、感染が成立するかを検証。21日間にわたり鼻腔や気道などの粘膜でのウイルスや…
武漢の猫を対象とした新型コロナウイルスの血清学的調査についての報告。 武漢の猫を対象として新型コロナウイルスへの感染実態を調べるためにパンデミック前後での変化を分析している。パンデミック前の39検体とパンデミック後の102検体について血清学的な…
新型コロナウイルスのパンデミックの状況で、スペインの環境中からウイルス検出を試みた結果についての報告。 人口の6%が感染したスペインの地域で、感染者の自宅において頻繁に使用される場所の表面、衣服からウイルス検出を試みた。このほかスーパーマー…
ウイルスの殻変性解析から新型コロナウイルスの弱毒前駆ウイルスがセンザンコウから広がっていた可能性があるとする報告。 ウイルスの外殻と内殻を構成するMタンパク質とNタンパク質の天然変性を測定し、コロナウイルスの呼吸器感染と糞便感染の可能性を推定…
イラン南東部の古い風土病の原因であるリーシュマニア・トロピカが非定型皮膚リーシュマニア症であるとする報告。 2016~2017年にリーシュマニアの可能性が考えられる病変のために医療機関を受診した353人を対象とした検査を実施。病理検査から278人がリーシ…
新興のインフルエンザDウイルス感染が欧州の家畜で血清学的に決定されたことについての総説。 インフルエンザDは2011年に初めて米国の豚から分離された、インフルエンザ様の症状を呈する新型のオルソミクソウイルス。既にすべての大陸で幅広い宿主に感染を広…
野生のイノシシがシベリアを横断してアフリカ豚熱を中国に持ち込んだのか検証。 アフリカ豚熱は2018年に中国全土で大きな流行を見せた。従来、アフリカ豚熱は、野生のイノシシが東欧からシベリアを横断して中国に持ち込んだという仮説があった。研究グループ…
豚の口蹄疫アジア1型に対する新型ワクチン株の抗原特性についての検証。 新興の血清型アジア1型による豚の口蹄疫を防ぐ開発ワクチンを評価。グループVIII株を防ぐアジア1シャミールcDNA(Asia1 Shamir-R)の感染性cDNAクローン作成。GVIII系ウイルスのVP1の…
世界的な齧歯類のクリプトスポリジウム有病率についてのシステマティックレビューおよびメタアナリシス。 人獣共通感染症は、人の医学と獣医学とを合わせて考えるものとしてワンヘルスという発想へと広がりを見せている。クリプトスポリジウムは寄生虫病とし…
オウシマダニの駆除に効果を示す物質の探索についての総説(2017年)。 オウシマダニは細菌や原生生物を媒介し、畜産業に経済的な損失をもたらす重要な媒介生物。殺ダニ剤や忌避剤は生態系に影響を軽減した成分の探索が継続している。薬草のような自然の材料…
嫌気的な発酵はグラスサイレージ中の肝蛭メタセルカリア除去につながるとの報告。 肝蛭は反芻動物の畜産業において重要な寄生虫。肝蛭のメタセルカリアは中間宿主のヒメモノアラガイなどの貝類から排出されて、植物に付着。牛などに植物ごと捕食されて感染。…
ヤギパラインフルエンザ3型の細胞への侵入と感染にコレステロール潤沢な「脂質ラフト」が重要との報告。 ヤギパラインフルエンザ3型は新たに同定されたパラミクソウイルスの一つ。中国の山羊牧場を脅かす存在。ウイルス感染のメカニズムは不明だが、細胞とウ…
小反芻獣疫ウイルスの感染の把握と畜産での対策についての研究。 小反芻獣疫は、羊や山羊で重症、死亡を引き起こす病気として重要。タンザニアで7115の血清調査のデータと395の家庭のアンケートから対策を検討している。人口当たりの家畜の感染率は、羊や山…
健康な犬へのメトロニダゾールが糞便のマイクロバイオームとメタボロームに及ぼす影響についての研究。 メトロニダゾールの処方によって、処方を中断した後でも4週間にわたって腸内細菌が減少。フソバクテリア門は4週間後も回復しなかった。糞便からの腸内細…
Q熱リケッチャの病原体レゼルボアと疑われるウサギの検査法のないオーストラリアで代替法を求めて検査を検証。 Q熱リケッチャは経済的な悪影響をおよぼす感染症として知られているが、生態学的な実態がよく分かっていない。欧州ではウサギがQ熱リケッチャの…
猫のコロナウイルス治療薬が新型コロナウイルス感染症にも有効である可能性を指摘。 新型コロナウイルスの増殖に必要とされる3CLプロテアーゼ。研究グループは「prodrug GC376」により猫のコロナウイルス感染症である猫伝染性腹膜炎ウイルスに対する治療に成…
新疆ウイグル自治区のダニにQ熱リケッチャが蔓延しているという報告。 コクシエラ・バーネティー(Coxiella burnetii)はリケッチャ科で、Q熱の病原体。2018~2019年に国境付近の10地域22カ所で家畜の体表から1507匹のダニを採取して分析。 ダニの種類によっ…
仮性狂犬病ウイルスのBarthaワクチン株と変異仮性狂犬病ウイルスから新型の病原性組換えウイルスが中国で発生。 仮性狂犬病ウイルスは、オーエスキー病の原因となるウイルスで、世界中で養豚産業に悪影響を及ぼしている。仮性狂犬病ウイルスの変異型が中国の…
ベトナムの犬パルボウイルス2型cから現れた新型のアジアIV系統群についての解析。 犬パルボウイルス2型(CPV-2)は小型の一本鎖DNAウイルスで、致死的な出血性腸炎を犬に引き起こすことで知られるウイルス。CPV-2はVP2遺伝子の差からCPV-2a、CPV-2b、CPV-2c…
スペイン西部のウマ類でウエストナイルウイルスとウスツウイルスが相互循環していると示す血清学的な根拠。 研究グループは、スペイン西部のエクストレマドゥーラ州のウマ類を対象としてウエストナイルウイルスの蔓延状況を分析。ここから27.45%がウエスト…
豚生殖器・呼吸器症候群(PRRS)遺伝子改変生ワクチンで新型のPRRSウイルスに対抗目指す。 2013年に流行した新型のNADX30様PRRSウイルス。研究グループは商用PRRS遺伝子改変ウイルスによる生ワクチンが交差反応を示して新型PRRSウイルス感染防止にも効果を示…
コバラミン(ビタミンB12)欠乏と胃腸疾患の見られる猫に対するヒドロキソコバラミン筋肉内注射の効果。 人ではコバラミン結合でヒドロキソコバラミンの筋肉内注射はシアノコバラミンよりも吸収効率が良いが猫ではよく分かっていない。そこで検証したところ…
新型コロナウイルス感染症の患者を臭いから識別する犬の研究。 研究グループは、1週間をかけて犬に新型コロナウイルス感染症の患者からの唾液や気道分泌液を臭いで嗅ぎ分けられるようトレーニングを実施。感度82.63%、特異度96.35%で識別する結果。 平均検…