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パンデミック時にワクチンを躊躇したり受け入れたりする要因についての分析

パンデミック時にワクチンを躊躇したり受け入れたりする要因についての分析が報告されている。

21世紀のパンデミック、エピデミック、アウトブレイク(SARS、H1N1、エボラ出血熱、ジカ熱、MERS、新型コロナウイルス感染症=COVID-19など)におけるワクチンのためらいや、ワクチンの受け入れを促進する要因について論じた論文を分析。

インフルエンザA/H1N1とエボラウイルス感染症において、ワクチンの躊躇や受容に影響を与えた7つの重要な領域を特定したとする。

  1. ワクチン接種に影響を与える人口統計学的要因
  2. ワクチンの入手のしやすさとコスト
  3. 個人の責任と疾病リスク認知
  4. ワクチン接種に関連した感染予防措置
  5. 保健当局とワクチンへの信頼
  6. 新しいワクチンの安全性と有効性
  7. 情報の欠如またはワクチンの誤報

一般的に、ワクチンを接種しない傾向となる人口統計学的要因は、49歳以下、女性、低収入・低学歴。一方、ワクチン接種を受ける傾向となるのは、妊娠していること、年齢が高いこと、男性であること、収入が高いこと(5万ドル以上)、少なくとも学士号を持っていること。

既存の慢性疾患(特に感染症による死亡リスクが高い疾患)を持つ高齢者は、ワクチンで予防可能な疾患に対する感受性が高くなる。リスクの認識が高いほど、健康保護行動(この場合はワクチン接種)を遵守する可能性が高くなる。

教育と雇用もワクチン接種をためらう気持ちに大きく影響する2つの重要な要素。学士号以上を取得している人は、病気の重症度やワクチン接種のメリットを理解し、ワクチン接種が自分の利益になるかどうかを判断。ワクチン接種をする傾向があるとする。

妊娠中の女性や子どもを持つ女性も、ワクチン接種をする可能性が高くなった。女性は自分の子どもがより弱い立場にあるため、子どもを守る責任感が強い可能性があるとする。

アクセス性については、ワクチンが集団予防接種を行うクリニックなど便利な場所にある場合、個人がワクチンを接種する可能性が高くなっていた。待ち時間を短縮する効率的なシステムが導入されているクリニックでは接種率が高くなっていたとする。コストが安くなるとワクチン接種が広がりやすいとする。

ただし、ワクチンの安全性と有効性に関する懸念が解決されない限り、アクセスとコストの障壁を単に軽減しても、意思決定者が期待するようなワクチン接種拡大につながらないとする。ワクチンのコストを下げることで、品質、安全性、有効性に関する疑問を不用意に招く可能性もあると指摘する。

参加者がワクチン接種を社会的責任として認識している場合、ワクチン接種の可能性が高いとする。ワクチン接種に対する社会的責任は、個人の健康や家族・地域社会の健康に関わる高いリスク認知に由来するとする。

COVID-19のパンデミックは、過去のパンデミックやアウトブレイクと重要な相違点を共有し、今回の調査結果は有用かつ適用可能ではないかとする。COVID-19の世界的な感染者数が増加する中で、ワクチンへの躊躇も同時に増加しているのは明確と説明。ワクチンの躊躇と受容を促進する要因を検討することが急務と強調している。

2021年7月、カナダ、米国システマティックレビューおよび主題分析法。

Truong J, Bakshi S, Wasim A, Ahmad M, Majid U. What factors promote vaccine hesitancy or acceptance during pandemics? A systematic review and thematic analysis. Health Promot Int. 2021 Jul 9:daab105. doi: 10.1093/heapro/daab105. Epub ahead of print. PMID: 34244738.

新型コロナウイルス感染症

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